2014年1月21日火曜日

神々しいマイソール宮殿、騒々しいインド人

マイソール宮殿
目を覚ますと昼だった。虫が出ないベッドはこんなにも安心して眠れるものかと頷いてしまう。部屋も広いしホットシャワーも出る。部屋へ案内されるときに、他のインド人客が泊まっている部屋を覗いてみたところ、自分の部屋よりも狭かった。自分の部屋が650ルピーにしては上出来過ぎることもあって、「さては割り当てたな..」などと考えを巡らせつつも、悪い気はしない。そういえば2階のこの角部屋へ案内されたとき、案内した兄ちゃんがチップを要求する仕草をみせたが、無視して追い出したことを思い出す。たかだか2階までの階段を上がり、荷物を持つでもなく、なぜか部屋に土足で入り込んでチップを要求できる理由があれば、こっちが教えてもらいたい。

ホテルの外は暑かった。朝夕の冷え込みに比べて、昼の陽射しは強い。マイソールが高原にあるということを実感する。とりあえず王宮へ向かうことにした。まず最寄りの北門へ向かったところ、この時間帯には北門は開いていなかった。"親切な"兄ちゃんが僕と歩調を合わせながら、しきりに「今日は休日だ」と言う。そう、このマイソール宮殿がライトアップされるのは日曜日だけ。兄ちゃんの話を適当に流しつつ、「俺は君と友達になりたいんだ」だとか「良い店を知ってるから連れて行ってやるよ」とか言い出すまえに、南門へ向けて足早に歩く。そのうち兄ちゃんは消えていった。

マイソール宮殿はマイソールジャンクション駅の東南にあって、この王宮を中心とした一帯がマイソールの中心になっている。IT産業都市としての雰囲気はなく、ベンガルールのような華やかさとは無縁。そこはインドの田舎都市というほうがふさわしく、建設中のショッピングセンターが都市の躍動感を匂わす程度だった。唯一見つけたKFCの看板も、近寄ってみるとまだ営業していない。ファストフードの出店状況は、インドの都市を計るときの指標になる。ここマイソールはベンガルールやチェンナイに比べて、どうやら時間が緩やかに流れている。

王宮の南口にはチケットカウンターがあった。チケットカウンターの前には群衆が詰めかけている。こんな光景は歴史の教科書でみた銀行の取り付け騒ぎくらいしか思い浮かばない。日曜日ということで、ただでさえヒマなインド人が押し掛けるのは目に見えているだろうに、チケットカウンターはひとつしか開いていない。奴らは行列を守らないから、こちらも容赦なく割り込むこと5分ほど、ようやく入場券を手に入れた。入場料は外国人が200ルピーでインド人は20ルピー。王宮の内部へカメラを持ち込むことはできない。足元を見られて微妙に吹っかけられてはいる感はあるものの、インドではこの程度はボッタクリとは言わないし、なぜか許せてしまう不思議。
マイソール王宮の南門

このマイソール宮殿は見る価値があった。入口で解説オーディオをレンタルすることができ、気付いたら1時間以上も見てしまっていた。解説の途中に妙な曲が流れていたのを覚えている。マイソールの街とチャームンディーは切っても切れない結びつきがあるということは教えてもらったのだが、それよりも哀愁を誘う「チャァァムンディィィィィ」という歌声のほうにインパクトがあった。そしてこの解説オーディオ、レンタルするときにパスポートか2000ルピーか20ユーロをデポジットすることになっている。3つの質草が同価値だとみなされていることが少し可笑しくて、2000ルピー払って秀逸なガイドを手に入れようかと、最後の最後まで本気で迷っていた。

王宮内部をしっかり見ようとしたら、少なくとも1時間半はかかるはずだ。そして夜のライトアップも含めたら一日がかりになると思う。郊外の観光スポットも訪れようとすると、別にスケジュールを割いておくほうがいい。